本種は 1900年に記載されており、ヒドロ虫類の中では比較的古くから知られています。ノルウェー、スウェーデン、イギリス、アメリカ、アイスランドなど世界で広く分布しますが、日本ではまだ確認されておりません。展示する本種のクラゲは、2023年にノルウェーで開催された国際ヒドロ虫学会の採集調査の中で、えのすいトリーターが入手したポリプから遊離したものです。ヒドロ虫らしいシンプルな形と、触手の根元や口柄の鮮やかなオレンジ色が特徴的で、遊離したばかりの時は 1mmほどでしたが、1か月で傘径 5mmほどにまで成長しました。
今回、本種の展示にあたって、ベルゲン大学の Department of Natural History に所属する Joan J. Soto-Angel 氏、Aino Hosia 氏、Luis Martell 氏、および Michael Sars Centre に所属する Alexandre Jan 氏には、種の同定や飼育方法などで多大なるご協力をいただきました。本種の展示を通して、“えのすい”とノルウェーの繋がりができたことをとてもうれしく思っています。
国際ヒドロ虫学会からの繋がりで一年越しにようやく展示に至った、いろいろ思いの詰まったクラゲなので、ぜひこの機会にご覧ください。