2024年07月21日
トリーター:大下

ナガオバネ

「ナガオバネ」と聞いて、みなさんは何を想像するでしょうか?
トリーター日誌ですので、生物なのは想像できるかと思いますが、今回は海藻の紹介です。
ナガオバネは海藻の中でも紅藻類に分類されます。読んで字のごとく、濃い赤色した海藻です。昨年あたりから相模湾ゾーンの岩礁水槽に設置してある水流を起こすポンプに生え始めました。

画像中央にある細長いひも状の海藻がナガオバネです。
水流がないとナガオバネは垂れ下がってしまいます。

一番長いナガオバネは30cm近くあります。水流がある場所を好み、水流を起こすポンプに付着します。ポンプ以外の場所にはナガオバネは生えておりません。

もう1台の水中ポンプにもナガオバネが生えています。こちらの方が成長していて、太いのがお分かりいただけるかと思います。

ナガオバネをアップにした画像です。中央部分から羽のように枝分かれしているのが、お分かりいただけるかと思うのですが、どうでしょうか?

実はナガオバネは非常に珍しい海藻になります。
関東圏内の各所で確認はされているのですが、報告例が極めて少なく、環境省が作成するレッドリストには情報不足として記載されるほどです。
いろいろと調べてみますと、「希産種」「ほとんどは一度見たきり」「場所を変えて出現する」「絶滅した(県によって)」など、まさしく「幻」と呼ぶにふさわしい海藻です。

そうなりますと、この幻の海藻がどこから岩礁水槽に潜り込こんできたのか?という疑問が浮かぶかと思います。
一つ言えるのが水族館の前の海から取り込んでいる海水にナガオバネの果胞子(紅藻類の種にあたる)が入り込んで、岩礁水槽へと送られて、水中ポンプに着生したと考えられます。
幻の海藻!ナガオバネは今のところ、まだ岩礁水槽に居ついており、水流にもめげずにポンプへと張り付いております。
ぜひ、深紅のナガオバネが水流を受けて、たなびいている姿をご覧ください。
ナガオバネの生活史を調べる限り、期間限定かと思われます… お見逃しなく!!

相模湾ゾーン

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