海中のあじさい水槽この春、魚類チームでは新人さんが入ったり、配置換えがあったりして、がらりと体制が変わっています。みんなこの 1か月、新しい担当に慣れるのに必死です。
私も担当水槽が総入れ替えになったのですが、幸いにも、入社当時から 2~ 3年おきにさまざまな担当を持ち回ったため、水槽の仕組みを復習している感じです。
今回はそんな水槽の 1つを紹介します。
環境水槽。
以前担当した時は「環境問題水槽」と呼ばれており、外来生物を展示するコーナーでした。
植田トリーターの研究対象であるイガイ類をどっさりと入れたり、巨大なタイリクスズキを入れたくて、崎山トリーターたちと一緒に釣り遠征したりと、私が新人時代に楽しんで「触った」水槽です。
外来種問題にも関心があったため、思い入れもありました。
その甲斐もあって、複雑な配管の配置やバルブ開度の特徴なども思い出し易かったのですが、いきなり難題がやってきました。
環境水槽でアジサイを表現
です。実はこのお題、初めてではなく、過去に先輩トリーターたちが挑戦しており、難しそうだなあ、と感じていました。これは「やりがいがあります」。
幸いなことに昨年アジサイを演じてくれたヒメハナギンチャクが、バックヤードの片隅にいました。再登板確定です。
でも、確かに色はピンクや紫で「いい感じ」なのですが、形はむしろ大輪の菊です。
もっとアジサイっぽい生物はと考え、相模湾沖のキサンゴが浮かびました。
オオバナキサンゴ
地元の漁師さんから時折入手できる群体サンゴです。
解説付きで展示するのは今回が初です。
触手は黄色いですが、肉がピンクや赤で「いい感じ」です!
フタリビワガライシ
これも地元の漁師さんから。来たときは皆「生きているの?」と思うほど、骨っぽい姿でしたが(サンゴは弱ると骨がむき出る)、よくみると、ちゃんと透明な肉をまとっており、いっちょまえに開いています。
スケルトンなサンゴ!これはマニアック!当館初展示です。
当水槽は鏡と擬岩が垂直に切り立ち、良い意味で圧迫感のある高さを感じさせます。ここにサンゴを配置して、江の島の山道の断崖に咲くアジサイの風情にしてみました。
サンゴやイソギンチャクはデリケートなので状態が心配でしたが、現在のところ満開となっています。
舞い降りる花びらのごとく泳ぐハナダイたちともども、1か月間、どうぞお楽しみください。