2009年09月01日
トリーター:今井

サカナウミヒドラ


海の中には、他の生き物を寄りどころにして生きている生き物がいっぱいいます。
当館の相模湾大水槽でも、大型魚にコバンザメがくっ付いて遊泳したり、クマノミがイソギンチャクをベッド代わりにしている姿を見ることができます。

きょうご紹介するのは、新しく皇室コーナーで展示することになった「サカナウミヒドラ」というクラゲです。
現在「ヤセオコゼ」という魚の体表にくっ付いているので、一見すると、海水魚の展示水槽のようです。

「ヤセオコゼ」は暖かな海の浅い海底すんでいる、数センチの小さなオコゼです。
胸鰭の一部がエビの足のように変化していて、海底をゆっくり這いながら、小さな生き物を食べています。
このオコゼの体表にくっ付いているのが、「サカナウミヒドラ」です。
これがたくさんつくと、ミノをまとったように見え、擬態の役目をしているようです。
クラゲの仲間の多くは、幼いころ海底でイソギンチャクのような(ポリプ)生活をしていますが、「サカナウミヒドラ」はこの時に、海底にすむ、ゆっくりとした動作の魚の体表にくっ付いて生活をするのです。
やがて成長すると小さなクラゲの姿となり、魚体から離れて、プランクトン生活を送るようになります。

まあ、どんな人でも体表や毛穴には、少なからずダニがすんでいますし、腸には細菌が 100種類以上すみ着いている事を考えますと、一種だけの単体でいる生き物を見つけるほうが難しいかも知れませんね。

ヤセオコゼに付着するサカナウミヒドラヤセオコゼに付着するサカナウミヒドラ
※「サカナウミヒドラ」が付着した「ヤセオコゼ」の展示は終了いたしました。

皇室ご一家の生物学ご研究

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