Wait for me
待ちかねたぞ!
と、声に出したかどうかは覚えていない。
頭の中には、ちょんまげの殿様が閉じた扇で手を打ちながら立ち上がり、そのはずみで脇息がころんと転がる映像が浮かんでいたが、実際はピペットを握り締め、目を皿にしてシャーレを覗き込んでいた。
しばらくお目にかかっていなかった、サムクラゲのエフィラが、誕生していたのだ。
英名フライドエッグジェリー。
60cmになるらしいが、大きいのは私もまだ見たことがない。
大きく育ったあかつきには、
あっぱれじゃ!
と立ち上がり、扇を広げて舞を舞いだす殿様の姿が脳裏に浮かぶのだろうか。
クラゲモリのココロはクラゲマチのココロ。
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[ 壱 ワインの匂い ]