2010年12月12日
トリーター:植田

最近展示が始まった見過ごされそうな魚


最近相模湾大水槽にお目見えした、見過ごされそうな魚についてお話しします。
相模湾大水槽の展示窓の一つに、半トンネルの部分があります。このエリアは、半トンネル型のアクリルガラス越しに、水中を水平方向と天井側に垂直方向に見渡せるような視界が広がります。
水面を通して水槽の上、天井がはっきり見えてしまうと、水中にいるような本来の雰囲気が台無しになるので、そこでは水面より上がはっきり見えないよう、わざと波立たせてあります。
水面直下をよく見ると、波乗りする様に水面近くをすいすい泳ぐ魚がいます。
体長は 10cm位。名前をトウゴロウイワシといいます。
トウゴロウイワシは今月 6日におこなわれた、地先の海岸釣り採集の際、ホンベラやニシキベラなどに混じって採集されました。
イワシと名前に付いていますが、マイワシやカタクチイワシとは分類学的には近縁ではありません。
当館で泳ぐようすを観察すると、波間をすいすい泳ぎながら、時折細かな有機物―大きな魚が食べこぼした餌の魚肉の微塵など―をパクパク食べるようすが見られます。
自分の体重の何倍もありそうな大型の、中には小魚を好んで捕食するような大きな魚たちに混じって、そのような魚に食べられないよう一生懸命生きる姿にはちょっと心動かされます。
真剣な生きざまをぜひ見てください。

トウゴロウイワシトウゴロウイワシ

相模湾ゾーン

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