藻場とは、海藻や海草が密集して生えている海域のことを呼び、小型無脊椎動物や稚魚の重要な生育場となっていて、漁業資源としても欠かすことができません。
江の島周辺には、主にカジメやアラメという海藻を中心とした藻場が知られていましたが、近年減少しているといいます。
そこで、EFPは 2016年から藻場の保全活動を行っています。
江の島沖からカジメを一部採取し、そこから遊走子(海藻の赤ちゃん)をネットなどはがれにくい人工物に付着させ、それを海底に移植することで藻場を増やしていこうという活動です。
毎年カジメをモニタリングしていますが、特に今年は非常に少なく心配していました。
今回は藻場の保全活動の中でもとても重要な、遊走子を得るためのカジメがどこに生えているかを事前にモニタリングしておくための活動でした。
カジメの遊走子は 10月ごろから活発に出はじめるため、この時期に確認をします。
しかし今回は結果としてはカジメの生育を全く確認することができませんでした。
他の海域では何年かのスパンで大きく増えたり減ったりするとのことですが、江の島沖でこの時期全く確認できないのは初めてでした。
特に次回の活動では遊走子をネットなどへ付着させる活動を行うため、元となるカジメが必要です。今のところまだ完全な代替案は見つかっていませんが、実は“えのすい”の相模湾大水槽 2Fの出会いの海水槽や、岩礁水槽でも近海産のカジメ・アラメを展示しており、今年は状態良く維持できています。
これらを江の島沖の藻場保全に活用できれば、これほどうれしいことはありません。
まずは展示中の海草の成熟具合を頻繁に確かめていきたいと思います。
EFPでの活動では江の島沖の海底という、私たちが展示テーマとしている海を直接見ることのできる数少ないチャンスでもあります。
今回は江の島からやや離れた根になっているところに潜ることができました。
実際の江の島沖の海底のようすを少しご紹介しましょう。
まず目についたのはウルメイワシ?の大群です。
大水槽のマイワシの群れに勝るとも劣らない一面の群れでした。
少し地味ですがヒメハナギンチャク、イソギンチャクの仲間ですが海底の砂の中に棲管を作って潜っています。
こちらとてもきれいなウミウシの仲間、ミアミラウミウシでしょうか。
シラコダイやチョウチョウウオの群れも観ることができました。
そして所々にある大きなヤギ類やトサカ類は、潮通しが良い証拠です。
そしてクエ、やはりとてもかっこいい魚です!
イサキやスズメダイの群れも見事でした。
江の島周辺の海の多様性を改めて感じた一方で、毎回たくさんのごみを目にします。
もちろん頑張って拾いますが、とても拾いきれない現実も無視できません。
これからもこれらの活動に参加し、環境保全に努めていきたいと思っています。