水族館の「愛玩動物看護師」についてお話ししている「2023/6/14 えのすい愛玩動物看護師の仕事1」に続く、第2弾です。今回も普段私がやっていることをご紹介します。
●鯨類の胃液検査
当館では、主に個体の体調不良のときや定期検査の際に胃液を採取して検査をしています。ハズバンダリートレーニングもしくは胃内視鏡検査で採取できた胃液を評価します。
まずは胃液の色や臭い、性状(粘性の有無、浮遊物の有無など)を確認します。写真からも分かるように、色は「淡褐色」、浮遊物は「なし」と評価します。そして、前胃炎などの診断に有効な酸性度(pH)も測定します。
試験紙に胃液を浸透させ、色見本(標準変色表)と比較し、pHを読み取ります。通常の胃液はpH1.0~2.0ですが、この日の「ルイ」の胃液はpH3.0でした。
その後、胃液を遠心分離機で遠心し、上清を捨て、残った沈査を、滅菌綿棒を使ってスライドグラスに塗り、グラム染色します。
他の標本と一緒に顕微鏡で観察します。低倍率像から高倍率像まで、顕微鏡で観察された特徴的な所見は写真で残しています。
この日の「ルイ」の胃液からは、白血球やグラム陽性の桿菌(かんきん)、グラム陰性の連鎖球菌などが観察されました。体調が悪いときは、この胃液の検査によって観察される菌の種類や数などから治療薬を判断することもあります。
動物たちの健康管理において胃液も大事な指標のひとつになります。
次回もお楽しみに!