2024年05月18日
トリーター:石川

寝るところ

フンボルトペンギンは縄張りを持つため、夜寝る場所が決まっています。
えのすいのペンギンたちの最近の寝場所を紹介しましょう。

番(つがい)になっている「トップ」と「グー」はペンギン舎内の 2F擬岩へ上がったところ、2F擬岩の奥は「ユメ」と「ホワイト」の場所です。
ペンギン舎の下のエリアでは、右から見ていくとアクリルの仕切りの前が「ハク」と「セサミ」、その隣が「ルビー」と「サニー」、その横に巣箱があって「フク」と「マーチ」の場所になっています。
空の壁絵から擬岩壁へ変わる角は本来「テン」の場所のようですが、留守が多いのか、「テン」に気のある「ユキ」がいることも多いです。
正面の壁岩の下は「ウタ」と「キク」、正面のプール際の擬岩真ん中あたりは「ブラウン」が陣取っています。
2F擬岩の下のエリア向かって右側は今のところ「コハク」と「ウメ」、2F擬岩から突き出した擬岩の下は「ナイス」と「ソラ」がいることが多いようです。
2F擬岩へ上がる岩階段の下は「チョキ」が寝ています。
私たちが出入りする扉の前は前室的な空間になっていて、今は歩けなくなった「チッチ」と仲良しの「マリー」が夜は一緒に寝ています。

さてここまでで名前があがらなかったペンギンが 5羽いるのですが、まず「コメ」は最近「ハク」、「セサミ」と「ルビー」、「サニー」の間で寝ていることが多いようですが、ときどき「ブラウン」の横にいるときもあります。
「イト」は「ソラ」、「ナイス」がいなければ 2F擬岩からせり出した擬岩下に入りたいようなのですが、2羽がいると追い出されて、中央のプール際擬岩にいます。

そして最もバラエティに富んでいるのが、「ポピー」と「リリー」の姉妹です。
この 2羽は仲良く一緒に寝ていることが多いのですが、ときどきメインエリアの右端と左端のプール際擬岩に分かれて寝ていたりして、「ケンカでもした?」と思ってしまいます。
2F擬岩の下、奥に 2羽でいたりもします。多分 2Fへ上がれたら 2Fへも進出しそうな感じです。
普通こんな行動に出ると、もともといたペンギンに突かれてはじかれてしまうのですが、この 2羽はどこへでももぐりこめる技? をもっているようで、意外と怒られずに入り込んでいることが多いのです。

過去の傾向を振り返ってみると、若いというか雛傾向が強い雌個体はもぐりこみやすいようにも感じます。
「イト」も幼鳥の羽だったつい 2か月くらい前まではいろんなところへもぐりこんで寝ていましたが、おとなの模様になってからは追い出されてしまう傾向が強いように思います。
雄は縄張りを確保することに執着しやすく雄に対しては、より激しいように感じるので、もしかしたら「イト」は雄かもしれないと思っています。
これらの寝る場所は番ができて営巣し、抱卵育雛までできるほど執着すると、よほどのことがない限り場所を変えることはないのですが、他個体が繁殖してヒナを育てているのを見ると、「隣の芝生は良く見える」のかその場所を狙おうとするときがあります。
子どもが育っている環境は良い環境という認識を持つのかもしれません。
また、若いペンギンたちや、まだ番がしっかり結びついていないペンギンたちでは変わっていくこともしばしばあります。

ペンギンたちにとっての安心できるこの“寝るところ”は私たちトリーターにとっても重要な場所となっています。

毎朝の私たちトリーターの日課はこの寝床周辺をすべて確認することからはじまります。各々がほぼ一定の場所に寝てくれているので、きのうから朝までの私たちが見ていない時間の体調や状態を教えてくれる重要なサイン(排泄痕、嘔吐物、産卵にかかわるような痕跡、喧嘩の痕跡、羽がわりの際の抜けた羽毛の量、巣材を集めたような痕跡など)が残されているのです。

これらは早い段階でペンギンたちの状態の変化に気づけるサインなので、とっても重要な痕跡なんです。

朝まだ舎内の灯りをつける前の少しくらいペンギン舎内を見回りして、いつものところで休んでいるかを確認するのと合わせて、最初に入室したときに、これらのサインを確認していきます。

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