2024年07月01日
トリーター:加登岡

サメな話Ⅲ

だんだん蒸し暑い日が増えてきました。7月になり、藤沢市ではきょうから海開きとなります。
今年も暑い夏になりそうです。

私のサメ熱も相変わらず熱いです。
今回は冷凍庫に保管していた私の大好きなサメの標本です。それを掘り起こしてきました。
サメ界ではあまりにも有名なサメなので、全体像でなく、部分的に紹介していきます。

みなさん、こちらの画像で何のサメかわかるでしょうか?

特徴的な歯の形をしています。スッと細長く、キリのように尖った先端が特徴的な歯の形をしています。ちなみにこれは上顎の歯になります。

下顎はというとこんな感じ。上顎の歯と同じ形状をしていますね。
サメ好きなそこのあなた! もうこれが何ザメか分かりましたよね?
え、まだ分からない・・・?
確かにこれだけでは、似た歯のサメもいるので分からないかもしれませんね・・・
相模湾で現れるサメの仲間で、この細いキリ状の歯を持つサメが他にもいるので比べて見てみましょう。“えのすい”にあった歯の標本です。
これとこれ。

どちらも先が細く、キリ状の歯です。これじゃあ歯を見ただけでは同定できませんね・・・
すいませんでした。

おや・・・ 待てよ・・・ よく見るとこの2種類は最初の歯と明らかに違うぞ・・・
3種類を並べてみましょう。

これで分かりやすくなりましたね。みなさん、もう違いは分かりますよね?
えっ、まだ分からない?じゃあここに注目です。

最初の歯にはないですが、後の2種類には歯の脇に小さい突起があります。この突起は副咬頭(ふくこうとう)と呼びます。ちなみに真ん中の長いメインの部分を咬頭(こうとう)とか主咬頭(しゅこうとう)と呼びます。
今回紹介するサメの歯だけ、この副咬頭がありません。これにより見分けることができます。
副咬頭が無くすっと細長い歯の持ち主はこちらのサメでした。
サメ界で一番速く泳ぐことができるアオザメです。

流線形のフォルムが水の抵抗を減らします。釣り針などにかかると勢いよく水面からジャンプもします。三日月型の尾びれも特徴的です。
高速遊泳し、獲物に襲い掛かり、尖った歯はその獲物を突き刺し、逃げられないようにすることができます。このアオザメはかつてパニック映画にも登場したことがあります。
サメ映画で最も有名なジョ○ズではホホジロザメが登場していました。そして、それ以降も、だいたいのサメ映画ではホホジロザメが登場している印象があります。ただ私が子どもの頃に見たディープ・ブ○―という映画では、私の好きなこのアオザメが登場しており驚きました。ふとこのトリーター日誌を書いていて当時のことを思い出したので書いてしまいましたが、脱線してしまい、すいません。パニック映画に出て来るので怖いイメージがついてしまいますよね。でもこのアオザメは外洋で暮らしているため、まず人と出会うことは無いはずですのでご心配なく。

今回はアオザメを紹介しました。そして、比較したそれぞれの歯はミツクリザメとシロワニになります。どちらも似ていましたね。歯から種類を同定できるように私も勉強中です。また、何か情報がありましたら発信していきたいと思います。

バックナンバー
2024/01/17 サメな話
2024/04/11 サメな話Ⅱ

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