現在3日の午後4時。潮流が強すぎて現在、関門海峡でイカリを下ろして停船しています。今回の航海は天気はいいのですが・・・。
関門海峡で停泊中、特別緊急釣りサンプリングをして、アカクラゲをすくったり、ダテハゼやニベなど釣っていたのですが、そこに驚くべきものが釣れて来ました。
巨大な「ウミケムシ」です。
毒のある毛を全身にまとった太いゴカイの仲間で、江の島の周りにも見られるのですが、サイズが違います。
写真に写った私の手と比べてみてください。伸びたら20cmくらいはありそうな勢いです。こんなものを手に乗せたら手のひらが大変な事になりそうです。みんなで写真をバシバシ撮った後、とりあえずプラケースに入れて飼育しておくことにしました。
と、いうわけで本航海初の採集生物はウミケムシになりました。
それにしても環形動物(広くゴカイの仲間)は本当に多種多様ですね。畑にいるミミズからサンゴのようなケヤリムシ、深海のハオリムシからきょうのウミケムシなど。
さらに今回の航海では海底に沈められた鯨骨の調査があり、そこにも目当ての環形動物がいます。以前、水族館でも展示したことのある「ゾンビワーム」ことオセダックスです。
ホネクイハナムシとも呼ばれる彼らは鯨骨に穴を開けてショウガのような根を張り、穴から枝分かれした細い体を花の様にヒラヒラとのぞかせる形をしています。
現在いろいろなタイプ、種類が発見されている新しい分類群らしいです。
なにはともあれ一刻も早く調査地点へ到達できることを祈らずにはいられません。本日はこの辺で日誌を締めくくらせていただきます。
[きょうの写真]
関門海峡のウミケムシ(魔物サイズ)
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。