本航海の日誌もきょうで最後です。
2回あった潜航どちらも生物調査でした。野間岬沖に沈んでいる鯨骨の周りを探索して、さまざまな生物を観察、採集します。
我々のメインターゲットはコトクラゲです。三宅さんを始めとする生物研究者の面々がハイパードルフィン運航チームの後ろに陣取って、採取の指示(お願い?)を飛ばします。私は深海分野では小僧っ子なので、端の方で控えめに・・・ もとい、真剣に映像とにらめっこしていました。
そして、コトクラゲ発見。
意外といるところにはいるものだと思いました。今回は朽ちたロープや、以前の調査時に沈めておいたマーカーの上に付着していました。
スラープガン(水中掃除機)で吸い取って、キャニスター(プラケース)の中に次々と収めていきます。たった数時間の間で、数十年間見つからなかった幻の生物が、5個体も採取されたのでした。
傷ついてしまったものもあるので、これから回復に努めて飼育してみたいと思います。
ところで、コトクラゲのように人知れず暮らしている「謎の生物」は、この地球上にたくさんいるとされています。そのひとつを、船でご一緒させて頂いた先生に見せていただいたので紹介します。
その名も「ウミクワガタ」。
ご覧ください。顔つきが昆虫のクワガタそっくりです(特に富士の樹海で見たオニクワガタに!)。
全長わずか 3mm足らずの生物なので、顕微鏡がないと観察が難しいですが、驚きの姿です。
このように、深海はもとより、地球にはまだまだ珍しい生き物はいるはずなのです。それこそ庭先の石の下やベランダの植物の裏に驚くべき生き物がひっそりと生きているかも知れないですよ。
日誌も最後だというのに、取り止めもなく書いてしまい、まとめの感じがしませんね。
実は・・・ それには理由があります。
それではまたいつの日かお会いいたしましょう。
[きょうの写真]
オニクワみたいなウミクワガタ
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。