やっと波もおさまってきて、どうにか手すりなしで船内を歩けるようになりました。
天気は曇ったり小雨が降ったりと不安定ですが、さすが奄美沖、半ソデで甲板に出られる暖かさです。
本日も3回のビームトロール調査が実施されました。
水深は 345m、616m、976mで、特筆すべきは2回目の採集です。
網の中身をタルにあけた途端、ガラガラと大型の貝殻が多数出てきました。
どこかで見覚えのある、白くて、細長い形、これはまさか、シロウリガイ?どうやら「アケビガイ」のようです。
本種はかつてエンセイシロウリガイとも呼ばれていたシロウリガイ類。
採集されたのは残念ながら殻だけでしたが、トロールを用いて分布が局所的(と思われる)シロウリガイ類が採集されたことに驚かされました。
本日は生きて揚がった生物が少なかったため、アケビガイの貝殻標本が主な成果物となりました。
実はこの貝、新江ノ島水族館の三宅元トリーター(現北里大学講師)らにより、初めて「17日間」という長期飼育記録を達成した種なのです。
17日とは長いのか短いのか微妙ですが、ことシロウリガイ類については、採集して数日と生きない「超」が付く飼育難易度を誇りますから、当時としては画期的だったわけです(その内容は学術論文として掲載もされました)。
当館では今も、シロウリガイ類の長期飼育に挑戦し続けています。
この後、相模湾で実施される別の航海では、生きたシロウリガイが得られるかもしれません。
今度こそ、シロウリガイの飼育の秘訣を見出せればと深海担当者一同考えをめぐらしスタンバイしていることでしょう。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。