おはようございます。きのうより「なつしま」は横須賀に向けて走り続けています。
天候の問題もあり、今回のハイパードルフィンの潜航はすべて終了となりました。
題名に「伊平屋北熱水活動域」と付いていますが・・・
結局そこでの潜航はおこなわれることはありませんでした。
潜航が終わっても作業が終わったわけではありません。
生物の飼育はもちろんですが、3つある各研究室では今も採集された海水や地質(チムニー片や硫化した泥)の処理に追われる研究者の姿があります。
どれも、またと得られない貴重なサンプルばかりですから、丁寧にビンに入れて記録を書いていきます。
研究用冷蔵庫の中はこれらでびっしりです。
生物の方も同様です。残念ながら採集後に死んでしまったゴエモンコシオリエビも、研究者が毛や体液を研究用に取り分け、残った体も他の研究者が後日使用できるように冷凍保存されます。
まさに無駄なところがありません。
水族館にいては普段触れることのない研究者の魂に心揺さぶられる感じです。
さて、チムニーのサンプルを採取していた研究者から嬉しいおすそ分けです。
サンプル処理の過程で出てきた「熱水ゴカイ」です。
熱水が噴き出すチムニーのすぐそばに潜り込んで体半分をユラユラさせている生物で、数年前に当館で「最も高い水温の中で生きる深海生物」として世界初展示をした記憶があります。
当時、私はまだ深海の担当ではありませんでしたが、なかなか飼育が難しい生物だったと記憶しています。
ぜひ、元気に持ち帰れるように飼育したいと思います。
[きょうの写真]
上/余すことなく抽出されたサンプル群
下/地質調査の後に頂いた熱水ゴカイの仲間
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT09-11「なつしま/ハイパードルフィン」による沖縄トラフ・伊平屋北熱水活動域及び鳩間海丘における深海調査航海
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。