きのうの夜から「かいれい」は伊東沖に停泊しています。
きょうの朝6時半に研究者の入れ替えがあるためです。
「かいれい」は大きな船なので、沖から通船を使います。
きょう乗船した方は、“えのすい”を今回の航海へ誘ってくださった研究者たちです。
ですから、きょうが最後の潜航日ですが、メイン潜航なのです。気合が入ります。
さあ、きょうはこれまでの潜航での登場回数が多い、ある大型生物を紹介します。
メインターゲットのシロウリガイ類やシンカイヒバリガイ類はダントツで多く生息しているのですが、その上をのっそのっそ歩く真っ赤なカニがよく目につくんです。
これはエゾイバラガニです。
大きさは甲羅が大人の手くらいのサイズでしょうか。
初日は、海底観測のタワーにカニがたくさん登ってカニタワーになっていました。
2日目、3日目も移動中などにときどき確認されました。
そして、きょうはちょっと面白い場面が見られました。
エゾイバラガニは一心にシンカイヒバリガイを一食べていたのですが、そこへヌタウナギが突っ込んできたのです。
カニはとっさに(?)ヌタウナギを食べようとしたのか、追い払おうとしたのか、つかもうとしています。
ヌタウナギはそれでもヒバリガイに食らいついて、なんだかヒバリガイの奪い合いのようにも見えました。
移動しようと「かいこう」が動き出した時に起きた事件でした。
このエゾイバラガニ、聞いた話だとこの海域では10年ほど前まではこんなに深い所にたくさんいなかったそうです。
もう少し浅場にいたとのことですが、どうして深い所に増えたのでしょうか。すこし気になります。
“えのすい”にもエゾイバラガニは深海コーナーの化学合成生態系水槽にいます。
ヌタウナギと格闘していたのと比べると小さくてかわいいサイズですが、かなり年季が入ってきました。
ここは、ほとんど餌を与えていない水槽なのですが、自力で餌を見つけて、何度も脱皮して成長しています。
ハオリムシの林に隠れていることも多いですが、赤い体は光が当たればよく目立ちますので、ぜひ探してみてください。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)KR12-05JAMSTEC「かいれい/かいこう7000Ⅱ」による相模湾初島調査航海
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。