今回面白かったのが、学生さんたちの貝を見る目、語り口の変化です。
数か月お会いしないうちに、みんなすっかり貝の虜になっているのでした。
綺麗なウミウシとか、タカラガイにならまだしも、黒くて泥だらけでところどころ殻がハゲている貝ですよ?
そんなエピソードをいくつか紹介します。
例1.いつの間にか「カイ」と口走っている。
学生さんの一人は、夏にウミガメ保護のボランティアにおこなっていたそうです。
活動中、ボラ仲間から「ねえ○○君、カメのこと、カイっていってるよ」と何度も指摘されたとのこと。
本人は「このカメがさあ・・・」といっているつもりなのです。
それが「このカイがさあ・・・」とウミガメの前で話しているわけで、想像するだけで面白いです。
私もウミガメのお話するときに、気を付けないと。
例2.貝の同定に熱いこだわり。
ある種を研究するときにまず必要なのが種類の同定。
この前まで「どの種も黒くて一緒に見える」と言っていたとは思えない上達ぶり。
「これって翼状突起の根元がうねってますから、カラスですね」
とか
「この質感、盛り上がりのある貝殻はイケチョウで間違いない」
みたいになっているのでした。
特に難しいドブガイ類の区別についても、図鑑を参考にしながら頑張っていました。
正直、私も苦手で「うーん多分タガイだと思うけど」みたいな歯切れの悪い返答になってしまうのに、それも熱心に聞いてくれるのです。
いつか、逆に教えてもらう日が来るのかも。それもまた楽しみです。
例3.「極上の1匹」を探せ!
今回、水族館の展示用に、特に巨大な個体を見つけて持って帰りたいと頼んでいました。
親切な学生さんは、メインの調査が終わった後も、へとへとになりながら一緒に探してくれました。
「 1cmでも大きなものを」「極上の一品を」と念仏のように唱えながら・・・。
姉沼には他の水域であればトップクラスに巨大な個体がごろごろしています。
しかし、そこから飛び抜けた怪物クラスを見つけるのは、幼貝を見つけるのと同じくらい難しいことでした。
結局、日本記録に迫るような巨大個体は見つかりませんでしたが、おかげさまで、形の良い、極上の貝を入手することが叶いました。
近いうちに展示する予定です。お楽しみに。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。