2024年08月28日
トリーター:矢作

“えのすい”愛玩動物看護師の仕事 5

こんにちは! 愛玩動物看護師の矢作です。

ここ数か月の間、他の水族館にお邪魔した際、そこで活躍する愛玩動物看護師の方と会い、お話をする機会が何度かありました。純粋にうれしいですし、刺激を受けることが増えました。その方々は、産まれて間もない命や、病気や怪我のために治療を続けている命と向き合っていました。この業界にも、獣医師とともにチームで生き物たちの命を守る愛玩動物看護師がもっと増えたらうれしいです。

さて、ご無沙汰していますこちらのシリーズ。
今回は実際に日々、動物と飼育担当と一緒に、検査の本番に向けて練習をしていることをご紹介します。

●ハズバンダリートレーニングでの鯨類内視鏡検査の練習
当館では、多くの生き物たちにさまざまな目的で内視鏡検査を実施しています。異物誤飲の際は、それらを回収するために、体調不良の際は、胃内の観察と胃液採取をするために、検査をします。急を要する場合は、その場ですぐに行うこともあります。また、定期検査として実施する場合は、月に1回もしくは半年・1年に1回など動物種や個体によってさまざまです。
最近、ハズバンダリートレーニングでの内視鏡検査の練習に一緒に取り組んでいるのが、カマイルカの「クロス」と「セブン」、それぞれの担当者の浦﨑トリーターと永江トリーターです。

カマイルカの「クロス」(左)と「セブン」(右)カマイルカの「クロス」(左)と「セブン」(右)

内視鏡検査に使用する機器はどれも高額なので、機器の水没や破損に注意し、動物と人双方が安全に実施する必要があります。特に、スコープ(先端にカメラやライトが内蔵された細長くしなやかに曲がる部位)がイルカに噛まれないように気をつける必要があります。
練習に使用するのは、故障して使えなくなった内視鏡のスコープです。「クロス」の場合は、スコープが入るサイズのチューブに通して、「セブン」の場合は、木材とビニールテープで作ったバイトブロックに通して、スコープを口内から胃の中に挿入していきます。

内視鏡のスコープが噛まれないように守る道具 「セブン」で使用するバイトブロック(上)と「クロス」で使用するチューブ(下)内視鏡のスコープが噛まれないように守る道具 「セブン」で使用するバイトブロック(上)と「クロス」で使用するチューブ(下)

胃内へのスコープの挿入が安定してできるようになったら、挿入したまま維持する時間を少しずつ長くしていったり、ハンドルを操作し、胃の中を観察する際に同様にスコープを動かかしてみたり、検査当日の実際の人の配置や機器の設置、機械音など少しずつステップアップしながら再現して練習を重ねていきます。
2頭の検査の本番は8月末と9月上旬の予定です。検査成功に向け、引き続き練習に取り組みます!!

イルカショースタジアム

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