2010年02月03日
トリーター:今井

「サンゴ礁水槽」の鬼


「南の島」⇒「サンゴ礁」⇒「チョウチョウウオ」と連想される方も多いかと思います。
ところが、当館の「サンゴ礁水槽」には“チョウチョウウオ”が 1尾も泳いでいません。

なぜでしょう?

それはサンゴを食べてしまうからです。

草原にシマウマが群れるように、サンゴ礁には色とりどりのチョウチョウウオが群れて、始終サンゴをついばんで暮らしています。
それでも、自然界ではサンゴはどんどん成長して、長い間には島を造ってしまうほどです。

ところが、人工飼育下ではそうは行きません。
サンゴの成長を促すために、飼育室が熱くなるほど、水面上には人工太陽の電球が並んでいます。
また、水をきれいに保つために、濾過を工夫したり、糞尿を排泄する魚をできるだけ少なく入れています。
その結果水質を測ると、前の海から取水したはずの新鮮な海水が、水槽内でさらに浄化されてきれいになっているほどなんです。
さらにさらに展示している生き物たちにも、役割分担して水槽掃除を手伝ってもらっています。

そこで節分に因んで、本日ご紹介するのが、鬼の角のように尖がった貝“オニノツノガイ”(そのまんま...)です。
水槽内のわずかな水の澱みに発生する藍藻と呼ばれる藻(も)は、あっという間に増殖して、底砂やサンゴに覆いかぶさり水の流通を悪くします。
この藻はまずいらしく誰も相手にしません。
しかし、この貝はちがいます。
ふだんは無防備に水底に転がっているように見えますが、照明を消すと目を覚まし、黙々と藻(も)を食べて掃除してくれる、トリーターには物凄ーく感謝されている貝なのです。

サンゴ礁水槽サンゴ礁水槽

太平洋

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