2006年08月26日
トリーター:寺沢

閑さや岩の蝉はなんの蝉?

蝉の季節です。そこここで、鳴いています。
先日、息子と 21匹捕りました。

突然ですが、
『閑さや岩にしみ入蝉の声』
説明をするまでもなく、松尾芭蕉の『奥の細道』の有名な一句です。
この句は、元禄 2年( 1689年)旧暦の 5月27日に山形県の山寺を訪れた際に詠まれたとされています。
実は、この蝉の種類をめぐって、昭和の初めに大論争が起きていたことをご存知でしょうか?
山形出身の斉藤茂吉はアブラゼミであると主張し、夏目漱石の門下で芭蕉研究家の小宮豊隆はニイニイゼミであると主張しました。
そこで実際に、山寺を訪れてこれらの蝉の活動時期を調べて、この論議に決着をつけようとのことになりました。
旧暦の 5月27日は、新暦で 7月13日に相当します。
そのころには山寺界隈にはニイニイゼミが鳴いているだけで、アブラゼミはまだ鳴かないということで、この『山寺の蝉論議』にも決着がついたとのことです。

『文学を科学する』、そんな表現がぴったりの出来事です。
水族館には蝉はいません(外にはいます)が、こんなことを調べるには最適な場所です。
見て、さわって、考えてください。

RSS