2007年06月14日
トリーター:寺沢

梅雨入りのころにカエルを想う

太陽の黄経が 80度に傾く、6月11日ごろを入梅と呼ぶそうだ。いつもの年であれば、カエルの大合唱が聞こえきそうなこの時期、今年はなぜか憂いを感じる。

世界中にはおよそ 6,000種の両生類がおり、その内日本には約 50種が生息し、その半数が南西諸島に分布するという。そんな彼らを今、真菌による病気、カエルツボカビ症が猛威を振るっている。皮膚に寄生するカビの仲間で、症状は多種多様。感染すると 90%以上が死亡する両生類の病気だ。中米、オーストラリア、ニュージーランドなどでは深刻な状況で、パナマのカエル達はアメリカに避難しているという。

先週の日曜日、麻布大学で開催された『カエルツボカビフォーラム 2007』に参加した。2006年12月、日本で初めて、外国産のカエルから報告され、その後の 6か月どうなっているのか、野生の両生類がどうなっているのか、このフォーラムではそれらがポイントであった。残念ながら、野生のカエルからも報告された、とのことだった。

2006年10月、堀館長に随行した北京海洋館の国際会議、その記録がしっかりと残っていた。『Amphibian Crisis、両生類の危機』、カエルツボカビ症のことだった。正直、対岸の火事だと思っていた。それまでアジアでの報告はなく、まさか、日本にもやって来るとは思いもしなかった。杞憂であってほしい。

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