みなさんこんにちは! 八巻です。
待ちに待ったきょうのこの日!
あいにく雨がぱらつく曇天となってしまいましたが、私の心は晴天です!
本日から JAMSTECの調査船「かいめい」に乗船、去年の 12月からずっと楽しみにしていた 23日間の航海が始まりました!
朝9時、静岡県の清水から出航。目指すは南大東島近海と九州・パラオ海嶺の海山!
なかでも南大東島は今回のメインの調査海域となります。
「 D-ARK(ディー・アーク)」、これは今回の調査プロジェクトの愛称です。
実は今回のプロジェクトは去年の 12月から始まっており、準備が進められてきました。
JAMSTEC、琉球大学、いであ、FullDepth、そして新江ノ島水族館の5者が中心となり、笹川平和財団のオーシャンショット助成金の支援を受けて、大東島近海の深海生物相調査をおこなうというものです。
D-ARK は Deep-sea Archaic Refugia in Karst を表し、「深海のカルストにおける古代の逃避地」という意味で、「Ark=方舟」と「Dark=暗い」も掛けた名前になります。
カルストというのは「主に石灰岩などの可溶性の岩石が浸食され、地下に広がる空洞や地表にできるくぼみ、溝、峡谷、地下水路などが特徴的な地形を形成する地域」のことを指します。今回の調査海域である南大東島は、実は島自体が気の遠くなるような長い時間かけて、造礁サンゴ由来の石灰岩が積み重なってできた島で、深海までこのカルストが続いています。
大東島周辺の深海には鍾乳洞と呼べるような洞窟があることが予想され、そこにはいったいどんな生き物が棲んでいるのだろう?というのが、プロジェクト発足の発端です。
一般に洞窟にすむ生物は眼の退化など、その暗く変化の乏しい環境に適応したものが多く、地上や浅海の洞窟では「生きた化石」と呼ばれる興味深い生物が発見されています。
では、深海の洞窟にはどのような生き物がいるのだろうと考えると、わくわくして夜も眠れません。
もしかしたら、太古の昔から深海の鍾乳洞という名の“方舟”の逃避地にかくまわれ、ひっそりと世代を重ねてきた生き物たちに出会えるかもしれない、という期待に胸が膨らみます。
さて、そんな期待に満ち溢れる今回の航海は、生物の各分類群の研究者の方や、調査機材を開発される技術者の方、国内外の第一線で活躍される方々が多数乗船されています。私は一水族館職員ながら、幸運にもそんな方々とともに未知の海域を調査する機会をいただきました。
私は水族館としてできること、D-ARK で得られる成果を生き物の展示や発信を通して広く一般の方にその魅力を伝える、という役割を担わせていただきます!
きょうから約3日間は、調査海域へ向かうための回航となります。
出航後はまず、乗船するみなさんとの顔合わせをおこない、その後船内生活の説明を受けました。
研究者の方々はラボの準備を、技術者の方は機器の調整を進めます。私は採集した生物を飼育するための水槽の整備をおこないました。
生物の飼育はこれまでの航海同様、冷蔵室付きコンテナと呼ばれる場所でおこないます。調査船はその調査に合わせてさまざまな艤装をおこないますが、今回は生物の調査に合わせた設備を積み込んでおり、冷蔵室付きコンテナもそのひとつです。
コンテナごと船に積み込むことで、船に冷蔵室付きのラボを一つ増やすことができるわけです。
他にも調査を滞りなくおこなうことができるように、居室を整えたり荷物の整理などをおこない、はやる気持ちを心の中で静かに燃やしながら、調査に備え、過ごしました。
23日間の長い航海、今回はいったいどんな出会いが待っているのでしょうか。
わくわくが止まりません!
少々長い期間の日誌になりますが、今回もなにとぞおつきあいください。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
本プロジェクトはオーシャンショット研究助成事業の助成を受けたものである。