みなさんこんにちは! 八巻です。
一昨日の夕方に南大東島をはなれ、きのう 12日から、九州パラオ海嶺の海山で生物相調査をおこなっています。
大東島から約 17時間走り、きのうのお昼ごろ、ここ北高鵬海山に到着しました。
和歌山県のずっと南の海上、沖縄県とほぼ同緯度で、全方位が見渡す限り海!
そして暑いです・・・
この北高鵬海山は山頂が約 330mで、山頂の周囲 4kmほどが平坦な平頂海山です。
1978~ 80年に北高鵬海山を含む6つの海山で、大規模な魚類相調査がおこなわれています。中でも特に魚類の多様性が高かった海山の一つです。
しかし、それ以来調査がおこなわれておらず、ROVを用いて潜航した例もありません。
初めて見る海底はとても楽しみですし、約 45年たった現在、初めて調査されて以来どのように魚類相が変化しているかも興味があります。
5月 12日は午後からクラムボンの潜航をおこないました。
北東の斜面から山頂付近目指し、海底を観察することが目的です。
水深約 540mに着底、海底のようすは思った以上に起伏がなく、閑散としていました。
これまで大東島では石灰岩の複雑な構造物のある急峻が多く、対照的な斜面でした。
生き物の数も少なく、海山の斜面にしては付着生物も少ない印象です。
しばらく斜面を登って進んでいくと、ぱらぱらと生き物が観察できましたが、底生性の無脊椎動物が少しいるだけで、魚など動く生き物はほとんど見られません。
釣り竿のようなものも落ちていました。
さらに進むとコトクラゲ発見!
魚もちらほらみられるようになってきました。
そのあたりで潜航終了の時間が近づき、翌日の KM-ROVでの潜航へ期待を託しました。
きょう 5月 13日は、KM-ROVで同様に北側の斜面から山頂の海底を観察しました。
今度は着底時から八放サンゴ類がたくさん生えている、にぎやかな海底でした。
そのすぐそばの海底には、なぜかヒモムシが這っていました。
反対側にはヒラムシも発見!どちらも単体で見つけることは少ない生き物で、これはチャンスとばかりにスラープガンで採集しました!
その後にわかに魚が増えてきて、多くの魚種を観察できました。
中でもヒシダイ類が最も多く、ハナフエダイ、チカメキントキが優占しているように見えました。
そして、いました!今回の海域で最も見たかった魚、ウラシマチョウチョウウオ!
冒頭で触れた魚類相調査で、この北高鵬海山から発見され、記載された魚です。
約 45年経っても元記載地に生息していることが分かりました!
幸先の良いスタートをきった九州パラオ海嶺での調査、最初の2日間でした!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
本プロジェクトはオーシャンショット研究助成事業の助成を受けたものである。