2024年07月16日

江の島潜水調査
2024年7月 1回目/八巻

  • 期間:2024年 7月 16日(火)
  • 場所:江の島鵜島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:八巻・園山


暖かい季節になってきましたね。
きょうは江の島の南磯、鵜島周辺の潜水調査をおこないました。この調査は月に1回以上同じ海域で潜水調査をおこない、江の島の海を年間通して見て感じて、季節変化や生物相を調べ伝えようという目的の活動です。
きょうはあいにくの雨模様。とはいえ、どうせ全身ぬれて海の中なので、あまり関係ありません(笑)
きょうの水温は24℃ほどで、気温とほぼ同じ、水の中でも水の外でも全く寒さや暑さを感じないとても快適な陽気でした。

まず1本目はヤギ類(サンゴの仲間)に明るい園山トリーターが中心となっておこなっている成長と成熟の調査です。分かっているようで分かっていないヤギ類の成長速度、成熟の情報。同じ個体を繰り返し見るという単純な作業ですが、案外海の中で同じ場所にたどり着くというのは難しいものなのです。水の中で GPS の電波を拾えないので、周りの景色を見ながらラベリング群体の場所にたどり着かないといけません。

江の島の海はいつも濁っています!とくに夏場の透明度は低いです。が、きょうは濁っている中では透明度が高い方だったと思います。最初はやや迷いましたが、無事ラベリング個体の場所までたどり着きました!


ヤギ類は枝が三次元的に成長するので、成長量を定量化するのは難しそうですが、多孔板に押し当てて測ることにしています。

これを続けた時どのような成長が見られるのか、とても楽しみですね。


1本目で感じたのが、ワカメの季節が終わったなぁという実感です。茎だけ白くなって残っていました。夏場は配偶体と呼ばれる、目に見ないくらいの大きさのかたちになっています。また冬場から春先にかけて大きく育つのを待ちましょう!


また、エソの仲間を初めてみました。恐らくオグロエソと思われます。


ハコフグが群れているようすも初めて見た気がします。


いつも大水槽で見ているペアリングしたクロホシイシモチも野外で見るとまた違ったうれしさがありますね。


2本目は少し沖にある鵜島まで足をのばしてみました!
鵜島までのみちのりには、ヤギ類のある磯側ではあまり見ない砂地があります。
今回はフクロアミの仲間がたくさん見られました。5mm~ 1cmほどの小さなエビのような甲殻類ですが、この生き物が他の小さな魚の餌となって生態系が育まれています。


他にも砂に潜っているハナアナゴも見られました。頭だけ出していてとてもかわいいです。


スズメダイの群れもいつも見る群れの数十倍は大きな群れでした。


この白い筋はカノコイセエビの触覚と思われます。


そして今回のベストショットはこれ!! アライソコケギンポ。おとぼけ顔がかわいすぎです。



実際に見に行かないと分からないことはたくさんあります。そんな小さな発見を見逃さないよう、これからも日々変化する江の島の海を伝えていきます。どうぞご期待ください。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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