2024年05月05日

D-ARK 航海 (5)
5月4日、5月5日 内視鏡カメラ、CTD、ベイトカメラ再び

  • 期間:2024年4月27日(土)~5月19日(日)
  • 場所:南大東島周辺海域、九州・パラオ海嶺
  • 目的:深海石灰岩洞窟における遺存種の把握とその分類学的研究
  • 担当:八巻


みなさんこんにちは! 八巻です。
5月 5日、子どもの日ですね。春の大型連休の後半はいかがお過ごしでしょうか。

きのう 5月 4日はいよいよまだ登場していない唯一の調査機器、内視鏡カメラが登場、KM-ROVに搭載し、実際に使用しました!


KM-ROVに搭載した内視鏡カメラ

内視鏡カメラは、先日登場した MiniROVでも入れないような、さらに小さい隙間や穴にカメラを差し込み、中の生き物のようすを観察することを目的とした、棒の先に小型カメラを取り付けた調査機器です。
また、カメラの先にはチューブが仕込んであり、ポンプを使ってチューブの先から環境 DNA用の採水ができるようになっています。
運用方法は KM-ROVのマニピュレーターで持ち、穴の中に差し込む、というものです。

穴に内視鏡カメラを差し込んでいるようす穴に内視鏡カメラを差し込んでいるようす

実際に見つけた穴に内視鏡カメラを差し込んでみると、外から見えているより中はかなり広いことが分かりました。
また、外からは全く見えなかったヒウチダイの仲間を見つけることができました!

穴の中のヒウチダイの仲間穴の中のヒウチダイの仲間

内視鏡カメラの前後もさまざまな生き物を観察しました。
特にキサンゴの仲間は見事でした!


カイメンの仲間


カイメンの仲間につかまるツノガニの仲間


カイメンの仲間


カイメンの仲間に付着するキサンゴの仲間

キホウボウの仲間キホウボウの仲間

KM-ROVが上がってきたら、この日も各々が採れたサンプルの処理をおこないます。
この潜航では水深 500mほどから小さなフサカサゴの仲間が採集できましたが、浮いてしまったので、魚チームの方々と一緒に治療を試みてみました。
膨らんだ浮袋からエアをぬき、その後は加圧水槽に入れてみました。すると夜には魚は復活し、飼育できそうな状態まで回復してくれたようです。
生かして持ち帰ることができるよう、頑張ってみます!

加圧水槽に入った魚のようす加圧水槽に入った魚のようす



きょう 4月4日は海況がやや悪く、島に近寄ることができないかもしれないということで、再び CTD採水およびベイトカメラの投入となりました。

午前中は CTD採水です。前回同様に環境 DNAチームが解析用にろ過作業をおこないました。
また、水のさまざなな成分について調べる研究者の方も乗船しており、水分析チームとして固定やろ過をおこないます。


水分析チームも水の処理をおこなう

午後はベイトカメラの投入です。
前回は設置場所についてはあまり詳しく書きませんでしたが、南大東島の周囲は非常に急峻になっています。ほとんどが 45~ 60度ほどの傾斜で、島の近くのにはとてもカメラを置くことができません。
そこで、島から少し離れた水深 2,000mほどの海底に置くことにしています。
今回はあすの朝、回収することになります。

前回のベイトカメラを映像について、夕方のミーティングの後に上映会をおこないました!
みな生き物が出てくるたびに歓声を上げて楽しく見つつ、種の同定等をおこないました。

ベイトカメラ映像の上映会ベイトカメラ映像の上映会

あしたはベイトカメラの回収と、かいめい ROVの予定です。



本プロジェクトはオーシャンショット研究助成事業の助成を受けたものである。
※オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。

・JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)KM24-03「かいめい」/「KM-ROV」 D-ARK 航海
・新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS