2024年05月07日

D-ARK 航海 (6)
5月6日、5月7日 二つの洞窟

  • 期間:2024年4月27日(土)~5月19日(日)
  • 場所:南大東島周辺海域、九州・パラオ海嶺
  • 目的:深海石灰岩洞窟における遺存種の把握とその分類学的研究
  • 担当:八巻


みなさんこんにちは! 八巻です。

5月 6日、7日は南大東島および北大東島の海域について、KM-ROVの潜航を中心におこないました。
今回の D-ARK調査も潜航を重ね、大東島周辺の海底について、だんだんと特徴が分かってきました。

南北大東島周辺の海底は、それぞれ島の外縁がそのまま非常に急峻になっていて、水深 800m~1,000mほどまで、ほとんどすべてが、45度以上、時には垂直やオーバーハングしているほどの急な角度で深く落ち込んでいく地形になっています。


垂直に切り立つ崖のような海底

その急斜面は穴が開いていたりへこみがあったり、ところどころ線状にクラックがはいっているところや、溝ができているところもあります。さすがはサンゴ礁由来の石灰岩でできている海底というのがよく分かります。


斜面に空く穴

線状の溝線状の溝

底質は基本的には岩肌がそのまま見えており、ときどき溝や平らな海底など、砂が集まっている場所があります。
集まっている砂も、正に浅海でみるような白いサンゴ砂で、一部礫のようなところもみられるものの、泥状の場所は見られません。


砂の集まった平らな海底

礫の海底礫の海底

生物相についても特徴があります。
ヒシダイやシャチブリ、ヒウチダイ類、シロカサゴ類、フサカサゴ類など比較的幅広い水深で見られる魚種もいれば、水深 600~400mとやや深めの海底で見られるソコダラ類、サンゴイワシ他 特定の魚種がいたり、エビスダイ類、ハナダイ類やウツボ類など比較的浅いところでのみ見られた魚種もいました。


ヒシダイ


シャチブリ


ヒウチダイ類


シロカサゴ


フサカサゴ類


ソコダラ類


サンゴイワシ


エビスダイ類

ウツボ類ウツボ類

無脊椎動物もある程度の決まった傾向が見られます。
深いところでは思ったより刺胞動物が少ない印象ですが、ところどころに八放サンゴ類やスナギンチャク類、イシサンゴ類が見られます。
やや浅い 300m付近から、特定のオオキンヤギ類が急に増えてきます。大きなイソギンチャク類が頻繁に見られた調査ポイントもありました。


八放サンゴ類


スナギンチャク類


イソギンチャク類

オオキンヤギ類オオキンヤギ類

また、なんといっても 以前の日誌 でも触れさせていただいたウデボソヒトデがものすごい密度でいることが、この海域の特徴です。
約 500~300m付近の幅広い水深で多く見られ、特に潮通しの良い場所、岩の上や穴の縁などに集まっているようすが観察できます。

群れるウデボソヒトデ類群れるウデボソヒトデ類


さて、こんな特徴を持つ海域ということが分かってきた南北大東島の周辺ですが、これまでは D-ARKの大きな目的のひとつである「洞窟」の発見には至っていませんでした。
が、ついに!
5月 6日に南大東島 400m付近、5月7日に北大東島の 300m付近で、それぞれ直径 10mは超えるであろう大きな洞窟がぽっかりと大口を開けているところを発見したのでした!!


南大東島の海底洞窟

北大東島の海底洞窟北大東島の海底洞窟

それぞれ明後日 9日、明明後日 10日に MiniROVを使って中を観察予定です!
穴の中でどんな出会いが待っているのか、本当に楽しみです!
あしたはクラムボンが改めて登場です!



本プロジェクトはオーシャンショット研究助成事業の助成を受けたものである。
※オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。

・JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)KM24-03「かいめい」/「KM-ROV」 D-ARK 航海
・新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。

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触ってもいいの?

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